透明人間、現る

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透明人間、現る、現る~♪ 一昔前に流行った流行歌を俺は、下手くそな鼻歌で口ずさんだ。 昔の流行歌をバラエティーで昔アイドルのおばさんが歌っていたのが、妙に耳に残っていたのだ。 そう、俺はついに、コレを実現する時が来た。 密かに研究に研究を重ねて、ついに! 透明人間になれる薬を開発したのだ。 これさえ飲めば、俺は透明人間。 タダで旅行できたり、女子更衣室にだって潜入できたりしちゃう。 好きなあの子の部屋に一緒に入っても気付かれない。 あの子と同じ空気を吸い、同じ空間で暮らす。 最高だ! 俺は、とあるトレーニングジムに通っていて、そこで出会ったあの子のナイスバディーにノックアウトされた。ところが、俺は中年でダブついたオッサン。 ジムのトレーナーが必要以上に、彼女にボディータッチしながら指導しているのを横目で見ていることしかできないのだ。 だが今日は違う。 俺は、女子更衣室の前で、薬を飲み、自分の手が透けてくるのを確かめてから、更衣室に忍び込んだ。 更衣室の奥には、シャワールームがある。 俺は、シャワールームのカーテンの内側に潜んだ。 更衣室のドアが開く。 彼女だ。もう幾度となく、通り過ぎた時の匂いを嗅いでいるからわかる。 俺は鼻がきくのだ。 彼女がヒタヒタと歩いてくる。 俺の心臓は跳ね上がりそう。 だが、今の俺は透明人間。 堂々と、彼女の裸を視姦できるのだ! カーテンがシャーっと開いた。 「キャーーーーーーー!」 彼女が叫んだ。 あれ?そんなバカな。俺は、今透明人間のはず。 彼女は慌てて、服をまとうと、更衣室を走って出て行ってしまった。 俺は慌てて、更衣室の鏡で自分の姿を確認した。 「あっ!」 俺は思わず叫んだ。 そこには、グロテスクな内臓が映し出されていたのだ。
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