手記

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――――――――――――――――――――――――  6月20日。カガクラ・ラウンが著す。  一連の事件の記録として、雑であるがここに記すために久しぶりにペンを取った。  確認されている事件発覚の発端は、連行対象者である松岩鉄雄への死刑神罰執行であった。これを担当したキルコ・コフィンズ上級執行官の助手、蓮田壮介が「松岩鉄雄に地獄の存在を仄めかした者がいる」という情報を得たことに始まる。  またその後日。同じく連行対象者の高原健二の元へ同執行官と同助手が向かった。そこで高原健二は魔導(魔導具、指揮者パリオンのメス)を用いて攻撃を行った。高原健二には魔導使用の履歴が無い為、これには他の魔導使用者の干渉があったと考えられる。また、上記の人物または組織と同じ、もしくは関連している可能性が高いと考えられる。  21日。協会地下監獄拘置室特別独房からの脱獄が発生した。囚人名は井岡健。連行を担当した執行官はキルコ・コフィンズ。地獄協会は敵対組織の存在を確定、その内通者が協会内部に潜り込んでいると結論付けた。  協会から脱出を試みた井岡健を追ったキルコ・コフィンズの前に第1級悪霊リジィが出現。その場に居合わせた執行官タイラ・ハウアーと、執行官補佐である園部達郎がリジィによって消失(殺害)される。私カガクラが現場に到着した際リジィは魔導解放状態にあった故に、その場の安全確保の為、逃走を許した。  この際、リジィは上記の「一連の事件」に自分が関わっていることを明かす。また魔導組織「偽国」との関わりを示すシンボルが見受けられたことで、一連の事件には「偽国」が関係していることが確定した。それらを「偽国の残党」と名付け、対策を練っている最中である。  この日の内に監獄職員のニコール・ランド、執行官の佐桜ヒズミの死亡が確認された。二人とも身体に残った傷跡から電撃により命を奪われたことが分かった。  22日、ザーラ・ドルトイの手配により松岩鉄雄との面会を行った。協会が確保している残党との接触者として証言を取った。しかし現状以上の情報を得ることはできなかった。  24日。高原健二の死亡を確認した。協会は残党により殺害されたと確定させた。  事件と書いたが箇所があるが、正しくは協会に対する一種のテロリズムであることを訂正する。
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