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ん? と、眉をひそめながら壮介は彼女をガン見してしまった。
(…………あー、なるほど)
同時に納得。彼女の服装がしっかりと目に入ったのである。
トップスのTシャツに合わせたボトムスは、ザ・ジャージ。なし崩し的に納得合点がいってしまうのもしょうがないだろう。いかにも残念美人という感じである。
壮介はそんな失礼なことを考えていると、彼女の目がちらりとこちらを捉えた。
「どうもです。君もユジローさんの友達ですか?」
そう言う彼女は柔和に笑んでいる。そんな表情の隣では、『友達』という単語に少しショックを受ける繊細な変人。
彼の性格にも慣れてきていた壮介は、ユジローのことなど気にしないで彼女に受け答え。
「友達……っていうか、今日知り合ったばっかなんですけど、まあ、友達……なのかな?」
ユジローとの関係をなんと表していいのか迷った壮介はあいまいな言葉をジャージ美人に返すが、彼女の後ろでユジローが泣きそうな顔をこちらに向けているのを見て訂正。
「友達です、はい」
すると彼女は「いいね」と頷くと言った。
「私もですよ。名前は玉原美束。所属は魔導対策部の違法研究取締班ってところで、23歳です。よろしくです」
少し眠そうな印象を受ける声で、彼女は自己紹介を終えた。
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