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と、言ったところで。「えっ?」と思わず言ってしまったのは傍にいた壮介。
二人はそれに反応して壮介もほうを見る。その視線に「どうしたのか?」と訊かれている気がして壮介は問う。
「魔導具開発って、作ってんですか? え、ここで?」
魔導具というとキルコやカガクラ、それとザーラが教えてくれた下法による道具だったはず。それを地獄で開発しているのか。
と、疑問符を頭に浮かべていると美束が「いえいえ」と笑った。
「違います違います。私の属してる部署では魔導具の取り締まりもするんです。その時に知識が必要だったりするのでユジローさんにご享受をばと来てる次第なんですよ」
「あ、ああー、なるほど」
美束の言葉を聞いて納得するが、もう一つユジローに気になることが。
よく人間社会では腕利きのハッカーをスカウト、なんて話があるが、ユジローもそういう感じなのだろうか。と、聞きにくいことを聞こうかどうか悩んでいる風に、壮介は彼を見る。
その視線に気がついたようで、ユジローは「いやいやいや」と首を振って弁明をした。
「たぶん君の考えてることは違うよ!? 僕はただ死神道具の開発の参考にしてるだけで、敵を知らなきゃいけない、ってそういうことだよ!?」
おそらく美束に変な印象を持たれたくないのだろう、ものすごい必死な否定を受けて、
「あ、す、すみません」
と壮介はたじろぎながら謝った。
閑話休題、という感じで。再び美束とユジローは話に戻る。
「アドバイスと言うと?」
二人のお仕事的な会話が始まった。今度は邪魔しないように、と壮介はコーヒーを飲んで傍観に徹することに。
(…………)
さらさら、とシュガーを入れた。
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