捕獲作戦

41/42
132人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
 「……一瞬、二人に鎖を任せてもいいかい? この魔導の波をどうにかするから」  キルコは頬に汗が伝うのを感じながら、指先に力を入れた。ジェーンも口を開くことは無い。  無言を肯定と捉えたカガクラは、深く息を吸い、  「いくよ、せえ、の!」  掛け声と共に腕を振り上げた。  部屋は光り輝く繊維に包まれ、直後鎖はその姿を消した。次いで魔導が暴れる音。カガクラの死神道具がそれを抑え込もうとするが、それを突き破りそうな勢いで猛っている。  すぐさまキルコとジェーンはカガクラのサポート。徐々に徐々に、部屋の魔導を抑え込み、そして遂にキルコ達は致死性のトラップを完全に回避しきった。  カガクラの道具は道具庫に戻り、部屋は薄暗さを取り戻した。  「……死っ、ぬかと思ったー」   開口一番、大きく息を吐き出したのはキルコ。両ひざに手をつきながら生を実感する。  「今のは一体……」  対して困惑を露にするのはジェーン。閉じて開かれたその眼は部屋の異常を捕らえているようだった。  「魔導の反応が殆ど消えてる……」
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!