0.桜の木の下で

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「えっと…。」 突然のことで戸惑ってしまう。 よく顔を見ると、ものすごく美人だ。 同い年くらいなのに、僕とは大違いだ。 大きな丸い目、ピンクの髪の毛、後頭部位置で結んでいる黄色のリボン。 そして、その立ち振る舞いも清楚であった。 「私はね、大好き。 綺麗で、でも儚くて。それって、人生と同じじゃない?」 桜を人生と例える彼女。その顔は笑顔に満ちている。けれど。 「綺麗に輝けるのは今だけ、いつかは儚く花びらのように落ちていく。」 悲しそうな顔で言う。 泣いてしまいそうな、消え入りそうなその顔で俯きがちに呟く。 何か言わなければ、咄嗟にそう思い口にする。 「僕も…桜は好きです。」 すると、彼女の顔はぱぁっと明るくなり、目の奥には純粋そうな光まで見える。そんな雰囲気。
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