辞表を出した次の日

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「もうこれ以上は絶えられない」 その日出社するなり、私は退職届けを出した。 あっけに取られたような顔をしている専務が口をひらく前に踵を返し、会社を後にした。  翌日、社長から直々に「今後のことについて伝えたい」という旨を伝えられ、会社に向かった。  これが最後の出社だと思い、私は勇気を振り絞って会社に向かった。  会議室のドアを開けると、そこには明らかに異様な雰囲気があった。  専務、社長はおろか、会社のホームページでしか見たことのない役員たちがずらりと席に着いている。    まるで大きな不祥事が表沙汰になり、会社が存亡の危機に瀕しているかのようだ。  ――どうしてこんな騒ぎに?――    私は何がなんだかわからず、急に怖くなり、思わず涙ぐんでしまった。  その時、円卓の中央に座っている、いかにも厳格そうな顔つきをした白髪の男性が重々しく口を開いた。 「落ち着いて、まあ。座りなさい」 ※※※
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