辞表を出した次の日

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※※※  会議室の中は重苦しい空気に満ちていた。 白髪の男性の言葉に従い、私が腰をおろすと、専務につれられて室田が部屋に入ってきた。  私は課長の隣に座っていて、室田はこれから面接でもするかのように、白髪の男性の向かいにある真ん中の席へ座らされた。  「お前、この子をずいぶんいじめているらしいな」  白髪の男性はしばらく室田を睨みつけ、凄みのある声で言った。  室田は即座に否定したが、白髪の男性は手帳を取り出し、私が受けた様々な仕打ちを日付とともに克明に読み上げた。中には私が忘れていたものまでが、細部まで正確に記録してあった。  続いて室田の営業成績や顧客からの評判まで一通り読み上げると、突然手帳を机に叩き付け、「この程度の仕事しかできねえ奴が偉そうにしてんじゃねえよ!」と一喝し、社長に向かって、今すぐコイツをクビにしろと告げた。  社長は平身低頭し、今回だけは、と庇ったが、白髪の男性も怒り狂ってゆずらない。その後小一時間にわたって、会議室のなかでは地獄のような応酬が繰り広げられた。  室田は泣き崩れて土下座までした甲斐あってか、なんとかクビは免れ、私の退職届けはなかったことになった。   あとで、室田を懲らしめてくれた白髪の男性は親会社の社長で、依子の父親だという事を知らされた。  依子は入社して以来、室田から私たちが嫌がらせを受けるたび、母親にその事を話していたらしい。  それをきいて心配した依子の母が、夫である親会社の社長に報告し、はじめは「まあそんなこともあるさ」と笑っていた依子の父も、日に日にエスカレートしていく室田のいじめに業を煮やし、ついに制裁に踏み切ったというわけだった。  
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