エピローグ

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 そんなの、知っている。  人は死ねば誰でも生まれ変わる。  例え本人が望むことがなくても、嫌でも生まれ変わらなければならない。  その理由は、俺達も知らないけれど。 「すみません。しかし彼女には自分の意思で生まれ変わりを希望して欲しかったのです」  すると上司はまた大きな溜め息を吐くと、黒いスーツの袖を捲る。 「一人に干渉しすぎるのは褒められたことではないですね。魂の修学旅行など聞いたことがありませんね」 「すみません」  魂の修学旅行は彼女を生まれ変わらせる為に俺が思いついたもの。  勿論、彼女は気付いていなかったが伊藤梨華を選んだのも紛れもなく俺だ。 「……しかし、これは僕自身の責任ですから」  彼女はこの世界で自分を必要のない人間だと思っていた。  そもそも、そう思わせてしまったのは……。  __いつかの俺だ。  もう思い出すこともできない。  だけど、彼女に対する罪の意識だけは忘れることなどできない。
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