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途中から電話口の女性がまるで自動案内のオペレーターのように思え、まともに立っていることもできなかった。
妻はその日夜勤だったのだが、その途中でどうやら事故に巻き込まれたらしかった。公には決してしないでほしい、と念を押された上で、その事故は院内で行われていたある実験中に起きたもので、妻は偶然事故現場に居合わせたのだと言われた。
意識を失ってはいるが外傷は全くなく、事故のことも覚えていない。しかし、まず間違いなく妻の脳には後遺症が残る。その後遺症により妻はだんだん周囲の人間を認知できなくなっていくだろう…。
そう、説明された。
それから僕はすぐにK教授に電話を掛けた。僕の知り得る中で一番頼りになる人だからだ。
K教授もショックを受けたようだったが、電話口で僕が号泣していたからだろう、はっきりとは分からなかった。
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