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「君の夫はある病に罹ってしまった。不治の病だ。原因も分からないし、今のところ有効な治療法も無い。」
夫の、ますます激しくむせび泣く声。
しかし私には、まったく訳が分からないままだ。一体何の病なのでしょう。彼はなぜこんなに泣いているのですか。
私の問いかけに、K教授は目を丸くした。
「君は、怖くはないのかね。」
怖くない、といえば嘘になる。
だが治らないからと言って彼の命がすぐに消えてしまうのかといえばそんなことはないだろうし、私にだって何かできることがあるかもしれない。
むしろ戦うべき相手が分かればそれは喜ばしいことです。
私がそう言うと、K教授は相変わらずで良かった、と言った。私は昔からリアリストなのだ。
それで、病名は。
この私の問いにK教授が答えるまでには、少し時間がかかった。
K教授が私の目をまっすぐ見つめる。
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