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一瞬、幻覚まで見えるようになったのかと我が目を疑った。
だが、煌々と灯りに包まれた大きな正面玄関の前に立つのは、
紛うことなく愛しい彼女の後ろ姿。
会いたくて、恋しくて、切なすぎて夢にまで見た彼女の姿。
なのに、忍の足はピタリと地面に貼り付いて動かない。
急に鼓動が動悸のように激しく胸を叩き、
どこか恐怖にも似た不安が一気に彼を抱きすくめた。
しかしその一方で、今すぐにも駆け寄り、
彼女をこの腕に抱きしめたい衝動が奥底から突き上げてくる。
忍は、そんな激しく揺れる己を鎮めるように、ひとつ深い呼吸をした。
そして微かに震えそうになる足を、おずおずと彼女の方へと踏み出す。
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