第20章  星にかける願い

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忍は、徐々に近づく彼女の背中を見つめながら、ゆっくりと歩み寄った。 そして、 「那々ちゃん……」 そっと背後から、声を掛ける。 ハッとしたように少し肩を震わせた彼女が、勢いよく彼を振り返った。 それから、ちょっとぎこちなく微笑んでくる。 そして、 「答えを……、お返事をしにきました」 わずかに端が掠れた彼女の声が、細く言う。 しかし忍は、その改まった口調に、胸が鷲掴まれたようにキュッと痛んだ。 うん――。 短く頷き返すのが、精一杯だった。 そんな彼に、彼女は小さく口を開く。 「あの……」
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