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忍は、徐々に近づく彼女の背中を見つめながら、ゆっくりと歩み寄った。
そして、
「那々ちゃん……」
そっと背後から、声を掛ける。
ハッとしたように少し肩を震わせた彼女が、勢いよく彼を振り返った。
それから、ちょっとぎこちなく微笑んでくる。
そして、
「答えを……、お返事をしにきました」
わずかに端が掠れた彼女の声が、細く言う。
しかし忍は、その改まった口調に、胸が鷲掴まれたようにキュッと痛んだ。
うん――。
短く頷き返すのが、精一杯だった。
そんな彼に、彼女は小さく口を開く。
「あの……」
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