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「あの秘密基地は、俺たちの世界だった。だからそこで言うって決めてたらしいけど、壊されたし、そんなんじゃ言い出すタイミングわからないよな。だからもう一回、作りたかったんだよ」
言いながら桐ボーは、自分の右足を見下ろした。
「絶対間に合わせたかったのに、土手で足を滑らせちゃったんだ。怪我したから、秘密基地作れないし、ポメ倉のお別れの日にも立ち会えないし。最悪だな。この世の終わりみたい」
自虐的に笑い、右足を触って痛そうに顔を歪める。
僕は、罪悪感に押し潰されそうだった。
あの時、秘密基地の再建に快く承諾していれば、僕たち5人はこんなふうにバラバラになることはなかったかも知れない。
ポメ倉のことも、もっとちゃんと見送ってあげられたかも知れない。
勢いよく立ち上がると、桐ボーは驚いたように僕を見上げた。
「桐ボー、ごめんね。僕ー」
言いかけたところで、家のチャイムが響いた。
おばさんが玄関の方に駆けて行く足音が聞こえ、数回の会話が交わされたのち、リビングにオージとサトっちの姿が現れた。
「ああ、なんだよ!サンタもいんじゃん」
サトっちが驚きと愉快の混じったような声を上げると、オージも驚いたように目を開いた。
「なんだ、だったらみんな誘えば良かったな。さっきそこで、サトっちに会ったばかりなんだよ」
「何でお前ら、わざわざバラバラに来るんだ。
一緒に来ればいいじゃん」
桐ボーが不思議そうに首を傾げたので、僕たちは顔を見合せて、苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
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