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~ おまけ ~
いきなりエントランスからのドアベルが鳴って、
忍は、すこし訝しみながらインターホンに歩み寄った。
そして、その小さな液晶画面に映し出された姿に、ちょっと目を見開く。
「那々? どうしたの?」
確かに、わずか一時間余りの引っ越し作業が済み、
それから不動産屋との手続きと、大家さんへの挨拶をすると言っていた。
だが、それにしてはちょっと遅いなと思っていた矢先のこと。
なぜか当の彼女が、液晶画面の向こうでモジモジとしている。
しかも、その理由は――。
「あの、ここの開け方が分からなくなっちゃって……」
俯き加減で、呟くように言ってくる。
そんな彼女を、忍は苦笑を堪えて招き入れた。
「部屋で待ってるよ」
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