6人が本棚に入れています
本棚に追加
それは、日本の艦載機が米国などのそれより比較的小型で軽かったこともあり、カタパルトの必要性を切実には求めなかった所為もあったようだが、自力での推進力と風力に頼るのではなく、艦載機を機械的に射出してやるという、のちに米海軍が独自に開発して採用した蒸気式という画期的な方式は、艦載機の発艦に要する滑走距離を飛躍的に短縮させたばかりでなく、その艦載機のエンジンの馬力にもよるが、爆弾の搭載可能な量が倍ほど違ってくるわけなので、そのことによって使い勝手のよい小型空母の運用が可能となった上に、日本軍のそれよりも倍程も重くて頑丈な艦載機の運用をも可能なものとしたというのである。
その当時の艦載機は、短い滑走で発艦に要するだけの揚力を得る為には、母艦の速度を最低でも二十ノット以上必要としていたことに加えて、向かい風との合成風力を必要としていたのだが、そのカタパルトを備えていれば、風力が少々不足しても発艦が可能となるなどいいことづくめだった上に、後の太平洋戦争における数々の海戦の展開において、この装備が重要な鍵を握って、戦局に思わぬほどの重大な影響を及ぼす結果を招くようになったそうなのである。
また更に、カタパルトに関して云えば、米海軍が太平洋戦争中に百五十九隻もの数の空母を投入した中で、商船を改装したり商船建造用の設計図を基にして建造したという、凡そ百二十隻のジープ空母と呼ばれた、日本海軍のそれとは異なる役割を担った小型の護衛空母が有ったというが、それらの空母は飛行甲板が狭くて滑走距離が不足することから、当時の常識からすれば着艦は出来ても発艦にはかなり困難を伴うとされていた大きさだった。にも拘らず、カタパルトを用いることで、その難問を見事に解決して、艦載機の発艦を可能とし、先の大戦の作戦遂行に大いに貢献したというのだ。
やゝ専門的な話しになるが、カタパルトの方式には、蒸気式の他に、油圧式や空気式などがあり、日本海軍の一部の空母には、空気式を採用して試験段階までいったものもあったようだが、結局、実用化を断念したという経緯があったそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!