第1章

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そのままじっとして、呼吸をすることだけに意識を向けていると、セットしておいた目覚まし時計のアラームがなりだした。突然のことに驚き、体がはねた。 落ち着きかけてた心臓が再びドクンと大きく鳴った。 慌てて右手を伸ばして止めた。 自分でセットしたのに、この時間になることもわかっているのに、あの世界から帰ってきてからわずかな衝撃にも過剰に反応してしまう。 この世界は平和だと頭では理解していても、この世界では俺が犯した罪を誰も知らないとわかっていても。 戻って来てからずっとこうだ。セットした時間よりも悪夢のせいで早く起きて、時間になって鳴り出すアラームにバカみたいにビビる。 一つ大きく息をはいて制服に着替えた。これもあの世界から帰って来て変わったことの一つ。前までは朝食を食べた後に着替えていた。でも今はすぐにでも動けるようにと起きてすぐ着替えている。 すぐ動かなきゃいけない理由なんてこの平和な世界には存在しないのに。
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