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光坂 和人(こうさか かずと).....お調子者で、心霊好き。常に三ノ宮詩織を怖がらせては楽しんでいる
霧島 愛理(きりしま あいり).....歯に衣着せぬ物言いをするが、綺麗な顔だちで男子生徒に人気がある
中野 翔太(なかの しょうた).....ボクシングジムに通う、その腕前はなかなかのもの。光坂和人と気が合い、ふたりして悪戯好きな面がある』
職員室でひとり、ここ何日かで集めたデータを眺める。
さて・・・今回はフルコースが楽しめそうだな。
そんなことを考えていた霧崎の鼻に、ツンときつい香水の香りが漂ってきた。
「あら、何をそんなに熱心に見ていらっしゃるんですの?霧崎先生」
「野上先生・・・どうかされましたか?今日の宿直は、私のはずですが」
「いえ、霧崎先生、今日が初めての宿直でしょ。なにかわからないことがあったりしたら困ると思って」
そう言いながら、とうてい学校の職員室には不釣合いな、高価そうなティーカップを霧崎に手渡す。
「紅茶を入れましたの。よろしかったらどうぞ」
「ああ、これはどうも」
「ところで、さっきからなにを熱心に見てらしたんですの?」
「ああ、これですよ。生徒のリストです」
「生徒のリスト?何故そんなものを?」
「いろいろと生徒のことを把握しておけば、いざという時に役に立つでしょう?勉強を教えるだけじゃ教育とは言えませんからね。ところで、野上先生が担当を受け持っているクラスの中野翔太ですが・・・ボクシングが強いとか。もし私がケンカをふっかけた場合、やはり勝つのはあちらでしょうね」
霧崎の物言いに、一瞬目を丸くした野上が、コロコロと可笑しそうに笑い出した。
「まぁ、霧崎先生は面白い方ですわね。生徒が教師にケンカをふっかけることはあっても、その反対なんて聞いたことがありませんわ。それに、霧崎先生にケンカなんて似合いませんわ。貴方のような素敵な方には。・・・先生は、あたくしのことをどうご覧になって?」
「・・・美しい方だと。きっと中身も、さぞや美しいのでしょうね」
この高校に新任として入ってきた霧崎に、野上は甲斐甲斐しく世話を焼いた。
容姿だけではなく中身、つまり性格を褒められたのは、それらの行為のおかげだと野上は確信し、たいそう嬉しく思った。
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