恐怖の館

3/3
前へ
/29ページ
次へ
断末魔の叫び声を心地よく耳にしながら、うっとりと目の前の動かなくなった死体を見つめる。 ああ、なんて美しいんだ・・・。 この鮮血の見事なことといったらどうだ? 血特有の、錆びた鉄のようなかぐわしい香り。 死んでなお恐怖に怯えた顔つきが、私の背筋をゾクゾクさせる。 「見てごらんマリア、美しいだろう?この内臓の色っぽいことといったら・・・」 「・・・はい、旦那様」 マリアと呼ばれた美しい女性が、暗く沈痛な面持ちで死体を見つめた。 「この死体も、いつものように頼むよ、仙崎」 「かしこまりました。旦那様」 初老の男が無表情な顔のまま、美貌の男性に頭を下げた・・・。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加