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「あ~あ、つまんない!なんで霧崎先生がうちのクラスの理科担当じゃないのよ!」
綺麗な顔立ちの女子生徒が、目の前のおちゃらけた男子生徒に向かって文句を言った。
「まぁまぁ、ごねるなって愛理。俺はうちのクラスの理科担当が野上先生で本当に良かったと思ってる」
「はぁぁぁ~?あんなののどこがいいわけ!?和人、あんた絶対女に騙されるタイプね。野上の奴、同じ理科担当だかなんだか知らないけど、霧崎先生にベタベタして、先生が迷惑がってるのが分からないわけ?しかもあいつ、香水臭くて3メートル先からでも匂ってくるし!」
「いい匂いじゃーん。野上先生、教師の中で一番美人だしさぁ」
霧島愛理と光坂和人が言い合う中、いたずらっぽい笑みを浮かべた中野翔太が一冊の本を手に話かけた。
「和人、心霊特集の本持ってきたぜ~」
「おお、でかした翔太!どれどれ、うひゃぁ~怖いの載ってるぜ~」
そう言いながら、大人しそうな顔立ちをした三ノ宮詩織のもとに近づく。
「ほらぁ~、見てみろよ詩織」
「きゃあ!やだやだ、やめてよ~!舞ちゃん助けて!」
「ちょっと、あんた達やめなさいよ!詩織怖がってるでしょ!」
助けを求められた小田舞が、和人に食ってかかる。
「こっわ~い。舞ちゃん、可愛いお顔がだいなしよ?」
翔太がその光景を面白そうに眺め、なおも和人が、嫌がる詩織に本を見せようとした時、正義感の強い藤白遊馬が間に割って入った。
「おい、お前らやめろって。他人が嫌がることをするのは人間として最低の行為だぞ」
「俺もそう思う。そんなくだらないことをしている暇があったら、英単語のひとつでも覚えたらどうなんだ」
眼鏡を掛けた水嶋彼方がそれに同調した。
「なんだよ、ちょっとした冗談じゃんか」
遊馬と彼方に注意されても、ちっとも悪びれた様子のない翔太に、愛理がフンッと鼻を鳴らした。
「冗談~?ぜんっぜん笑えない。和人も翔太も思考がガキなのよ」
「そんなこと言ったって、毎日面白いことなんもねーし。あ~あ、この学校に幽霊か殺人鬼でも現れればいいのになぁ」
つまらなそうにぼやいた翔太に、和人が面白そうな顔をした。
「幽霊か、殺人鬼かぁ。いいこと言うじゃん。お前はどっちが怖い?」
「俺?俺は幽霊かな。殺人鬼だったら、この手でノックアウトしてやれるし」
シュッ!とボクシングの構えをとって、翔太が答えた。
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