432人が本棚に入れています
本棚に追加
/290ページ
―Side ゆず―
「ゆず!」
翔くんの声に反応して走り出す。
その先には、あたしを待ち構えていたかのように泰くんからのパスボールが送られて。
それを手にしてまた走り出した。
翔くんが隼人を抑えてくれるから、いつものあたしを邪魔する意地悪な隼人はここにはいない。
今の冷静さを失った隼人は、目の前の翔くんしか映っていないんだ。
まっちゃんが追いかけて来たところで、あたしにたどり着く前にシュートを放った。
泰くんに教えてもらったスリーポイントシュート。
決定率は決して良くはないけれど、ノーマークの状態なら多少は確立も上がるし。
それに、翔くんの瞳が『気にしないで打て』そう言っているように見えた。
きっと外してもまたボールを奪ってあたしに回してくれるだろう。
翔くんが言うように、あと何回シュートが打てるかわからないけど。
それでも、今までで一番たくさんシュートを打つことができた。
翔くんと泰くんに守られて、まるでお姫様気分だ。
最初のコメントを投稿しよう!