Act.10

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うちのクラスはバスケ経験者は多いから得点率も高いし、何よりディフェンスの上手い森くんがいるからゴール下の守りも強いチームで。 それに比べて、翔くんたちのクラスは翔くんと隼人の得点率がずば抜けて高いチーム。 隼人も身体の大きさだけは森くんにも負けないけど、でもそれだけで、守りはそこそこって感じだろうか。 経験者くらいなら簡単に止められるだろうけど、現役バスケ部にはきっと敵わない。 それにバスケはチームプレイだ。 ストバスのように目立ってなんぼの隼人がどこまで暴走せずにいられるかが鍵かもしれない。 なんて、いろいろ分析しているうちに気がつけば、すぐ近くに翔くんたちの姿が見えた。 翔くんの隣には隼人もいて、だけど一度もこっちを見ることなく秋山くんと何か言葉を交わしながら体育館の中に入っていってしまった。 気づいていないわけではないだろう。 一度もこっちを見てもらえなかったことが、寂しいと思いながらも。 これでいいのだとも思う。 今は試合のことだけを考えていて欲しいから。 翔くんのバスケをまた見せて欲しいから。 その試合を見るのが、すごく楽しみだから。
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