Act.10

20/28
前へ
/290ページ
次へ
「秋山くんでも緊張するんだ……」 「そりゃあ…ね。まあ、初めから負けるつもりもなかったし、このチームなら大丈夫だって思ってたけど。初戦だしね、このメンバーでちゃんと試合をするのは初めてだったから」 「そっか……そうだよね。でも、すごく強かった。これなら本当に優勝だって狙えるよ」 「もちろん、そのつもり。だから――」 こんなところで躓くわけにはいかないんだ…… そう呟きながら、秋山くんの視線の先は、次の試合のためにアップを始めた2-Eへと向けられていた。 視線の先のコートの中には、翔くんと隼人の姿が見えた。 「……翔には悪いけど、俺たちは負けないよ」 「えっ……?」 「今日だけは、ゆずちゃんの応援を独り占めできる。なんてね、同じクラスの特権」 キョトンとするあたしを見下ろしてクスクス笑う秋山くん。 「前にも言ったけど…絶対に手は抜かない、男と男の真剣勝負だ。だから最後まで見守ってて欲しい」 さっきまで笑ってたくせに。 急に真剣な顔でそんなことを言われたら、ドキドキしないわけないじゃない。 「……今日だけ、俺を見て」
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

433人が本棚に入れています
本棚に追加