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その言葉は冗談でもなく、からかっているわけでもなく。
あの日、秋山くんに告白された日のことを思い出してしまう。
あの日と同じ真剣な眼差しに、少しだけ緊張の混ざった声色。
この真っ直ぐに瞳に見つめられても、あたしは何も言えなかった。
なんて言ったらいいのかわからなかった。
気まずさに少しだけ視線を逸らすあたしに気づいた秋山くんは、ポンとあたしの頭をやさしく撫でてから。
「次、試合でしょ? ゆずちゃんたちも頑張ってな」
そう言って、みんなの輪の中に戻っていく。
緊張から解き放たれた満面の笑みで、みんなと一緒に勝利を喜ぶ秋山くんの姿を目で追いながら。
「……ビックリした」
さっきからずっと心臓がバクバクと激しく動き回っている。
「秋山くん、本気だね」
後ろから聞こえた声にビクッと肩を震わせると。
スッと隣に現われた可奈はもまた、秋山くんに視線を送っていた。
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