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「今の、聞いてた?」
「…うん、ごめん、聞こえちゃった」
別に可奈が謝ることもないのに、ちょっと気まずい空気に包まれてしまったせいで可奈を見ることができなかった。
「みんな、それだけ真剣なんだね」
「……うん」
「秋山くんも、速水くんも、それに隼人も。みんなバスケに真剣でさ……」
「うん」
「みんな……かっこいいね」
「うん、かっこいい」
秋山くんの向こうには翔くんの姿が見えた。
秋山くんに“俺を見て”なんて言われたくせに。
あたしの視界は、すぐに翔くんの姿を捉えてしまう。
きっと、可奈の視線の先には隼人がいて。
同じクラスじゃないから送ることの出来ないエールを、心の中で唱えるしかなくて。
次は、あたしたち女子の番だ。
あたしたちの隣のコートでは翔くんたちの試合が行われる。
だから、翔くんの試合を見ることは出来ないけど……
きっと、彼らも大丈夫。
こんなところで躓くはずはない。
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