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「ゆず、そろそろ…」
「うん、わかってる」
そろそろあたしたちも試合のためにアップしないといけないから。
彼らを視界から外して背を向ける。
キャーッと、体育館の中に響き渡る黄色い声が、誰に向けられたものかなんてすぐにわかる。
さっきのうちのクラスよりも多くなったギャラリーも、その大半が女の子で、目当てはもちろん翔くんで。
背を向けたくせに、キュッと目を閉じればすぐに翔くんの姿が思い浮かんでしまう。
――勝って。
もう一度だけ、心の中で翔くんにエールを送って。
よし、と気合を入れなおした。
「よし、じゃあ行きますか!」
あたしだって、彼らに負けないくらいバスケが大好きで、負けず嫌いなことろだって負けてないんだから。
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