Act.10

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「ゆず、そろそろ…」 「うん、わかってる」 そろそろあたしたちも試合のためにアップしないといけないから。 彼らを視界から外して背を向ける。 キャーッと、体育館の中に響き渡る黄色い声が、誰に向けられたものかなんてすぐにわかる。 さっきのうちのクラスよりも多くなったギャラリーも、その大半が女の子で、目当てはもちろん翔くんで。 背を向けたくせに、キュッと目を閉じればすぐに翔くんの姿が思い浮かんでしまう。 ――勝って。 もう一度だけ、心の中で翔くんにエールを送って。 よし、と気合を入れなおした。 「よし、じゃあ行きますか!」 あたしだって、彼らに負けないくらいバスケが大好きで、負けず嫌いなことろだって負けてないんだから。
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