Act.10

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あたしたちの初戦の相手は1年生だった。 秋山くんたち男子みたいに圧勝とはいかなかったけれど、どうにか勝つことが出来てホッとしていた。 あたしたちの応援に来ていた秋山くんたちに笑顔で駆け寄っていく女子メンバーたちは。 満面の笑顔でみんなとハイタッチしながら喜んでいた。 試合前はみんな緊張してるのか顔が強張っていたのに、今は楽しそうにはしゃいでいるのを見て嬉しくなる。 あたしも同じように森くんとハイタッチをして、『やったな!』と笑顔の森くんに同じように笑顔を返した。 そんな中、一人気の抜けたような表情で溜息を吐く可奈の姿。 「可奈…?」 あたしの呼びかけに、また情けない顔で息を吐く。 きっとそれは安堵の溜息。 「……勝てて、良かった」 思わず零れ落ちた言葉は、そんな言葉。 自分が初心者なことをずっと気にしてたから、試合に勝てたことでやっと緊張が解けたのかもしれない。
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