Act.10

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「見たかった?」 「べ、別に!?」 ふふん、と顔を覗き込めば、慌てて否定していることを見ると図星かしら? あたしはいつもあの公園で隼人のプレイを見ているけど、可奈はなかなか見る機会がないから見たかったのだろう。 それでも素直に『見たい』なんて言わないところが、可奈らしい。 「このあとどうする?」 次の試合までまだ少し時間がある。 このまま体育館でバスケを見てもいいし、他の種目の応援に行ってもいい。 愛美のテニスの試合も、どうなったか気になるところだ。 「一度体育館出ない? この熱気で息苦しいから」 「そうだね、確かに。体育館の中、蒸し風呂状態だもんね」 いつも以上に人で溢れる体育館。 ここにいるだけでも体力を消耗してしまいそうだった。 翔くんたちの試合が終わったことで、さっきよりも生徒の数が少なくはなったものの。 やっぱり人気のある種目だけあって、バスケのギャラリーの数は他の試合よりも多いのは毎年のことだ。
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