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「愛美のところにでも行ってみようか」
「そうだね、って…その必要もなさそうだけど」
ほら、と可奈が指差したほうには体育館の入り口付近でキョロキョロと中を窺っている愛美の姿があった。
「ウワサをすれば…?」
「あの感じだと、テニスよりもカメラマンを取ったって感じね」
「だね」
キョロキョロ体育館の中を窺ってはいるけど。
あれはどう見ても、あたしたちを探してるって感じには見えないもんね。
きっと今朝言ってたイケメン探しに夢中なのだろう。
体育館にも必ず顔を出すって言ってたし。
でも、ちょっとタイミング的には遅かったかな? なんて思っても、愛美だって自分の試合があるわけだから仕方ないか。
あたしたちにまったく気づかない愛美のところへと向い始めた可奈の後を追いかけるように歩き出したところで。
ふと、視界の隅に映りこんだ人影。
可奈を追いかけながら何気なく向けた視線の先には、先日あの階段でタオルを拾ってくれた女の子の姿があった。
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