Act.1

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校内で“王子様”と言われるだけあって、その笑顔は破壊力抜群で。 その優しく細められた瞳に吸い込まれてしまいそうになる。 なんて、乙女チックな考えに一人頬を赤く染めた。 …恋愛経験の乏しいあたしには、彼は刺激が強すぎます。 はじめはただ見ているだけだった。 あたしと同じように、いい意味でも悪い意味でも目立っていた人だから。 あたしと同じように偽者の自分を作り、愛想笑いも当たり前の毎日。 勝手なイメージばかりが一人歩きしてしまって。 そのイメージに自分を合わせることが苦痛だったはずなのに。 慣れって恐ろしいもので、それが普通になってしまうのだ。 ほんの少しの興味と、ほんの少しの同情。 それだけ。 のはずだったのに……
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