433人が本棚に入れています
本棚に追加
「ニッ、内緒。なあ、ゆず?」
そんな俺の行動に気が付いたのか、櫻井は嫌味ったらしい笑みを浮かべて。
俺に見せつけるようにゆずの肩に腕を回す。
そんな櫻井の姿に内心ムカムカが治まらないけど。
さすがに初対面のメンツがいる前でいきなりキレるのもどうかと、グッと堪えながら笑顔を作った。
そのせいで、握った拳に力が入りすぎて痛いけど…
「…何が内緒よ」
呆れた顔して櫻井を睨んでるのに。
そのゆずの瞳が優しいせいで、余計に腹の中がムカムカしてくる気がした。
ゆずが悪いわけじゃない。
これは、完全なる嫉妬だ。
櫻井が羨ましいんだ。
ゆずに簡単に触れられることも。
櫻井のくだらない言葉に呆れながらもちゃんと応えるゆずの姿に。
櫻井の隣にいるときの表情豊かなゆずに。
櫻井が羨ましくて仕方ない。
目の前でじゃれあう二人を笑いながら傍観してはいるけれど。
内心穏やかではなかった。
そんな俺の隣に並んだのはまっちゃんと呼ばれていたヤツだった。
最初のコメントを投稿しよう!