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「速水ってゆずと付き合ってるんだって?」
突然の問いに、思わず目を見開いて隣を見遣ると。
「隼人、落ち込んでたぞ」
「は?」
意味不明の言葉に口をあけたまま隣にいる男を凝視する。
「ああ、俺、松原直己。みんなにはまっちゃんって呼ばれることが多いかな、よろしく」
「…よろしく。って落ち込んでって…」
まっちゃんは曖昧に笑うだけで、何か言う前にゲームが始まってしまった。
…落ち込んだって。
やっぱり、そういう意味だよな。
薄々は感じてたけど…
やっぱ、好きだった?
だよなぁ…と、小さく呟いた俺の声は周りの掛け声に掻き消されていった。
「速水、パス!」
突然名前を呼ばれて。
気がつけば、目の前にバスケットボール。
意味深な言葉を残していった張本人は、ニカッと満面の笑みで俺にパスを出していた。
さすが櫻井の友だち。
意味深なことを匂わせながら、核心には触れようとしない。
そういうところ似すぎだから、と小さく息を吐いてから。
ゲームに集中しようと気持ちを切り替えて、手にしたボールを持って振り返ったところで。
「えっ…」
俺の前にはゆずの姿があった。
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