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光の前に立った。
当たり障りないその手をのばすと、長いようで短い夢と表現すればいいのかわからないけれど、そこから私は抜け出した気持ちになった。
音が聴こえる・・・、実態のある確かな音が、
「どうしてよ! どうしてこんな事になったの? こんなに貴女を待っているのに・・・。あの男のせいよ、唯は・・・・・・。大丈夫だよ唯、許さない、あの男をちゃんと許さないから。・・・・たとえ私が地獄に落ちるようなことをしてもね、あの男を許さない」
強かに鋭く響きわたる声で叫んでいる。一心な思い、人のために怒る声はとても危うく感じ、胸が張り裂けそうに辛い。
この声を救えるやつは居ないのか、私は呼吸を繰り返す。鼓動に重なることのない呼吸は私に安心を与えるけれども、無為。
私が繰り返す呼吸は口の周りを少しずつと湿度をあげ蒸らし、
少し気持ち悪さを感じもする。
蒸れをひたすら感じるのも嫌で意識を彼女にそらしてみる
結果何も考えれない
まあ、このまま目をつぶっていてもむず痒いだけだ。そろそろ起きようではないか、起きたら自分が誰なのか、声の主が誰なのか分かるかもしれない。
目を開けると見慣れない白い壁。そして、口にはプラスチック性のマスク。
〈さっきからの気持ち悪さはこれか〉刹那の間、天を見つめて視線を横目に流す。絵画のように、絵が描かれたように形をとって風で揺らめくカーテンが映って、その隙間から見えるのは・・・・・・・・。
洗面所の前で、女の人が手に花瓶を持ち泣いている
〈さっきの声はこの人だったのか〉
なんだか苦笑してしまった
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