11人が本棚に入れています
本棚に追加
「怜史ー!」
階段の下から真知子の声がする。
怜史は部屋のドアを開けて「はい。」と返事をする。
「ご飯、上で食べるんやったら持って上がり。」
「下で食べるー。」
と言いながら読みかけの漫画を片手に階段を降りた。
カウンターに座ってご飯を食べる。
「家帰ってへんのか?今日は。」
「帰ったけど。」
ぶっきらぼうに怜史がこたえる。
真知子はそれ以上何も聞かないことにした。
「ごちそうさま。」
怜史はカウンターの中に入って自分が食べた食器と一緒にシンクに溜まっていた食器も洗った。
「いや、ありがとう!助かるわぁ。」
「じゃあ上で遊んでくるわ。忙しなったら手伝うしまた言うて。」
階段を上がってドアを開けると2人増えていた。
酒とお菓子と唐揚げや餃子でいっぱいになっているテーブルを一瞥して怜史は壁にもたれて座る。
近くの座布団とクッションを引き寄せて座布団は背中と壁の間に挟み、クッションを抱いてその上で漫画を読んだ。
伊藤と純一が顔を見合わせて、怜史をチラチラ見る。
「誰?誰?」
と純一が小声で健介に聞く。
「え?あいつ?イッチーの弟や。」
「え!まじで?そうなん?」
伊藤と純一が声を上げて怜史を振り返る。
怜史は一瞬顔を上げてすぐに目を逸らした。
「怜史もやるか?」
健介の誘いに怜史は首を振って「いい。」と断った。
「あっ、イッチーもうすぐ来るって。」
携帯を弄りながら健介が言った。
「えっ」と怜史が呟いたが誰もそれを気に止めることはなく、
「おっ!やっとかぁ!」
「あいつ気ぃ使ってなんか買ってきそうやし、酒はあるぞって返せよ。」
「イッチー俺の事覚えてるかなぁ?」
「 いやいや純一が来るから今日イッチー来るねんで。」
と盛り上がる。
最初のコメントを投稿しよう!