一生、契約。

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どうして気付かなかったんだ? こんな風に、防音になっている部屋とか 「んっ」 あまりにも出来すぎたストーリーだとか 「ほら、美果、禅のもらいな?」 私生活が分からない旦那 「あー、もう出そう、美果 いい仔、そのまま吸い出して」 面倒くさくない、女 「美果、入るよ?」 「いっ、い、イヤァァアァアアァ」 禅が何も躊躇わずに押し分けて進む。 ほぼ動じに口から抜け出た先生が私をキャンバスに白を塗りたくった。 咄嗟に目をカバーするためにギュウと瞑ってみるものの。 眼鏡、……。 「美果、気持ち良かったよ? いい仔だね」 そう言いながら指で飛び散った絵の具を掬い 口の中へしまわれる。 嫌なのに 嫌なの…… だけど 「美果、きっつぃっ」 禅がうしろでフワリと力を抜く。 「そんなにキツいと、もたないよ」 掌が身体のラインに沿って丸く丸く撫でて そのあと、ピシリ、と叩かれた。 「美果、こういうのが好きなの?」 禅は尋ねながら、また丸とムチを交互にくれる。 「好きなんだね」 嫌な筈なのに 「好きだろ?なぁ、美果 お前にはこれがないとな?」 紫のラメ。 見ただけで、身体の奥底が震え上がるくらいにガクガクと崩れる。 首に填められたそれはやっぱりちょっとだけキツくて 自由を奪われた事に 果てしなく興奮を隠せない私は 「あーあ、凄いね、美果」 「悪い仔だ」 初めて粗相をする。 「気持ちいいんだな、嬉しいよ」 禅が後ろから覆い被さってきた。 今までの優しい禅は、本当の禅ではなかったんだろうか。 先生は私にも禅にも同じくらい入った。 二人の矛盾した白と 私の不道徳を無視したドロドロが身体のあちこちにへばりつき不愉快さを顕著にさせる。 「あー、美果、眼鏡、べったべた」 禅がスイと手を添える。 抜き取られて見た顔はいつもより幸せそうに見えたのはどうしてだろうか。 「美果の右目は深い海みたいな色だな」 禅が、私にキスをした。
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