一生、契約。

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*********** 禅は昔、ナイフで目に傷を付けられた事がある。 それは角膜と網膜に達し 反対側の目にまで眼炎を起こした。 松本先生とは旧知の仲だ。 今もステロイドをたまに使っている。 綺麗な蒼の瞳は見れば見るほど吸い込まれていくようだ。 「美果は、墨か目にしか興味がないの?」 「え?」 気づけば目の前まで近付いていた。 「だって、吸い込まれそうなんだもん」 「そう?」 「吸い込まれたい」 瞼にキスをする。 私たちが会えるのは 禅がこの病院へ来ている時だけ。 病院の2階、完全防音の敷かれた部屋で あられもない事を繰り返す。 「オレは美果に吸い込まれたい」 「きゃぁ」 覆い被さってきた禅の 凶器のようにピンと聳えたモノが文字通り、私に吸い込まれていく。 この人と 溶けてしまえたら、どれだけ気持ちいいだろうか。 「す、き」 うわ言のように、突き上げられる度に呟き、縋り付く私を 大きな手と、腕で抱え込み ギリギリまで、を繰り返す。 ゆっくりと与えられる身体への悦びと 心が満たされていく慶びは この禅と繋がった時だけに味わえる特別だ。 暖房も入れずにいるのに、汗がやむことはない。 ずっと腰を揺すり、揺らし 靡かせて波打たせ 小刻みに震わせ 大きく打ち 頭が至福で満タンになった時 叫びをあげる。 鷲掴みにされた柔らかな脂肪が 掌に潰され、丁寧に口付けされて なにも、考えられなくなった。 このまま、考えずに このまま……
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