第1章

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苦しい言い訳に自分でも苦笑いが出る。 「ではお言葉に甘えて。ほんとに近いんですけどねっ。」 そう紡いだ言葉は無理やり出させたものだったろうか。少し笑いながらも応えてくれたことに安堵した。 肩を並べてゆっくり歩く。 雨の音だけが響く沈黙は意外にも心地よかった。彼女が濡れないようにと、さしている傘は小さくて僕の肩に雫が垂れる。そんな冷たさも気にならないぐらい、彼女を意識しないことに徹していた。
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