はなのきちがい

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若先生は自分こそ花の才能があると信じて、さまざまな試みをされました。 それを支えるのは取り巻きの女性でした。 花の世界は女の世界。 華やかに見えても媚びと嫉妬の嵐です。 だんだん若先生は生け花の研究から外れた邪法に傾倒されたそうです。 はっきりといつから、というよりは。 大先生と公の場に出られることが減り、 離れに閉じ籠り弟子の女性達に良からぬ事をしているようでした。 若先生に心酔している者も、若い女性らしく自己犠牲にも快感を覚えたのかもしれません。 古の方法を探り、幻覚作用のあるものや媚薬となるものを流通させて利を得たいと願ったのでしょう。 珍しい植物が持ち込まれ、真冬だと言うのに薄着の女性が庭をふらふらして、木の枝をバリバリと噛み砕いているという 異様な光景が見られました。
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