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大先生と奥様を旅行という名目で家から出し、裁き人は翌日離れにやってきました。
ドアを開けると、ずざざざ、と赤い虫が逃げていきました。
光が嫌いなのです。
「ああ、ずいぶん増えたね」
好きなのは暗い湿った場所。
キッチンの流しにも、ズズズズと動き、
冷蔵庫は半開きで、牛乳パックに這っている。
床にも女性の血や体液の痕らしい点々に群がっている。
通りすぎたバスルームの扉は、内側に赤い筋が動く。
隣のトイレは水が溜まっていたから、赤い行列が途切れることなく溢れている。
障子のさんの下側にブラブラと虫が連なっていました。
結露のせいで水分があったようです。
椅子に座った男性に近づきますと、
皮膚は乾いて眼窩がへこんでいます。
花虫はよじ登って
口から入る列と口から出る列がある。
腹が随分とふくれていて、もう水分がないのかな、と思った。
その時、男の頬の内側からビュッと花虫が飛ぶ。
裁き人は灰を撒く。
裁き人は花虫が寄らない草を食べたので安全なのですが一応。
花虫に、花に戻るように詠唱すると、動きを止めた花虫がバラバラと落ちます。
水分を吸った個体はぶちぶちと膨れていました。
油を吸わせた個体を撒きます。
このまま置いておけば発火するでしょう。
そこまで始末の算段をつけてから、裁き人は外に出ました
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