ほろ苦エチュード

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○o ギィ…        ○o。.  「ホテルテンペストへ ようこそいらっしゃいませ」.。o○    .。o○ ...♪ ゚゚゚゚゚゚・。.゚゚゚゚♪ ......♪.....。。。。。・・・・♪。。。。。。゚゚゚゚♪ このホテルのラウンジでピアノを弾くようになって1年が過ぎた。 広い大理石のホールから少し階段を上がった先に作られた広々としたラウンジ そこは全ての場所をぐるり見渡せる作りになっている。 下を見下ろすと受付のロビー 上を見上げると宿泊ルームの踊場通路 ラウンジにびっしり敷き詰められた絨毯の上には ルネッサンス時代のテーブルと椅子 天井に飛ぶように描き巡られた天使の絵 何より目につくのはラウンジの窓一面から覗く木漏れ日に光る川 緑色の光が室内を輝かせて 奏でるピアノの一音一音がロビーにこぼれ落ちるように流れ出す。 このホテルのラウンジで俺、花咲 蓮がバイトで弾くのは土曜と日曜の週2回 PM13時開始16時終了 名門の音大生っていう肩書きのお陰なのかBGM演奏のバイトはとてもいい金になった。 本日は土曜日 多分今日も窓際の奥のあの席に彼女は座るだろう。 そして向こう側の階段から降りて帰って行く。 まるでそうするのが当たり前のように。 ◯・・゜エスプレッソ・バレンタイン °・・◯ ・
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