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「菓子作りのときに使う着色用の粉ですかね」
見ただけでわかるはずもなく、ドロシーはあてずっぽうに答えた。本物はもっと赤みが強かった気がする。薬学は詳しくないのでそちら方面は何も言えない。
「なんだ、ドロシー。柄にもなく菓子とか…作るのか…?」
「作っちゃ悪いですか?」
「物を壊すのが専門のお前にそんな趣味があるとは…わっはあはは」
部屋外に届くくらいの大声で笑いながらハウライトは小瓶を指でころころと転がす。
お望み通り攻撃魔法でも撃ってこの部屋を破壊してやろうか、とドロシーは拳により一層力を込めている。ラピスはもう静かに首を振る。いつも忙しくしているくせにこうやって部下で遊ぶ時間は惜しまない。ラピスはそんな上司のおふざけから元の道に戻す。いつもの役割。もう慣れた。
「で、何ですかこれは」
「透明になる薬だとよ」
「禁薬指定の魔法薬?!どこでそれを?」
「とあるお方から渡された」
とあるお方という言葉にラピスはハウライトをじろりと睨む。ハウライトは弄んでいた小瓶を掴むとそのままドロシーに投げた。
「お前使ってみねぇ?」
「何言ってるんですか!?禁薬は作るのも使うのも罪じゃないですか!」
「だなぁ。ま、見えないんだし、ばれねぇよ」
ほら、っと水まで渡すハウライト。ドロシーは部下に犯罪勧める上司がどこにいる!とテーブルを叩いて激怒した。禁薬の人体実験のために休暇返上とか冗談じゃない。
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