遅咲きのパンジー

残されたもの

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「探偵を使って探すとか考えなかったんですか」

「考えたよ。でもヒントが富山のどこかだけじゃ、どうにもならないと思ったんだ。それに、」

「それに? 」

「あることがあってね」

「あること? 」

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香奈がいなくなって3 ヶ月くらいたったころだろうか。

ある日突然たまらなくなって、そこらじゅうの引き出しという引き出しを全部引っ張り出して、中身を床にぶちまけた。狂ったように。

そうしたら、ベッドルームにある香奈が使っていた整理ダンスの1番目の引き出しの奥に、何かが挟まっているのを見つけた。

紙切れ?

手を伸ばして引っ張り出すと、それは一枚の写真だった。

まだ香奈と知り合って間もない頃、二人で行ったテーマパークで撮ってもらったツーショットの写真だった。

彼女が写真立てにいれてまさにこの整理ダンスの上に飾っていた、お気に入りの写真だった。

これを写真立てから外して置いていったということは。

これをもう見たくもないということは。

…………本気でさようなら、か。