残されたもの

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起動された動画サイトの画面には向こうの子供たちや大人たちが次々と現れた。 皆、笑顔いっぱいに口々に "Tatsu, Feliz Navidad !(達、クリスマスおめでとう! )” と告げて笑ったり、はしゃいだり、時には歌ったりしている。 「この子はシングルマザーのもとに生まれた未熟児でね。それが今じゃ、首都で働く公認会計士ですよ」 そのうちの一人の若い女性を指して彼が微笑んだ。 彼のリーダーシップのもとで村人が望むような学校ができ、それまで親の仕事を手伝うしかなかった子供たちが教科書を手にし、読み書き計算を身につけ、仕事の幅をひろげていった。 「彼は? 」 片言だが日本語を話す青年が映った。 「彼は家庭の事情で10歳まで学校に行ってなかった。でも優秀でね。私の部屋に住まわせて勉強させたんです」 そしてついには奨学金を得てアメリカの大学にいけるまでになった。 「昨年戻ってきて、あるプロジェクトの現地リーダーになってくれたんですよ」 日焼けした肌からこぼれるような白い歯を見せて、檜山さんは誇らしげに語った。 「それにしても、まるで現地にたくさんお子さんがいるようなもんですね」 「そうですね」 「お伺いしたように大変なご苦労はあったと思いますが、やりがいもすごいですよね」 「ええ、まあ。だから続けてこられたんです」 思い出すかのように彼はうなづいた。 「辞めたいなんで思わなかったんでしょう? 」 「いや…… 一度だけ、ありましたよ」 「え? 」 「辞めたいと思ったことが。何もかも投げ出したくなった時が」
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