残されたもの

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ーーーーーーー ーーーーー 3ヶ月もの不在の間、香奈とは週に1-2回はメールを交わしてはいた。 でもあとで思い出せばそれは、洗濯機の修理はどうするかとか、好きな番組を録画しておいてくれとか、そんな事務連絡ばかりだった。 けれど俺が今いるこの国も、クリスチャンの国だ。 ホリディが近づき、貧しいながらもそれぞれの家にはささやかな飾りがつけられたり、普段は見かけないような酒類が取り置かれたりしている。 クリスマスまでに帰れるかはわからないけど、プレゼントくらいは用意してやらないとな。 この村の手工芸品はなかなかのものだ。お金を稼げる数少ない品目のひとつでもある。 ほとんどしっかりした建物も沿道にないような、それでもこの村一番のメインストリートでは、さまざまな物が道端で売られていた。 確か香奈が、民族調のものは日本でも人気があるとか言ってなかったっけか。 このバラの模様が編みこまれたカーディガンなんかどうだろう。編み方も丁寧だ。
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