エピローグ

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2年後。 彼女の作品展は小さいながらも、来客数は多くいた。 『作家としての個展開催おめでとう』 師匠の鳥海が、みちるの傍に来て笑顔で言った。 『出産前に開催が無事に出来て良かったです』 『本当にどうなるかとハラハラしたわ』 『私もです』 大きくなってきているお腹を鳥海は優しくさすった。 今日は個展の最終日。 個展の準備を始めていた時に、妊娠がわかり、悪阻と闘いながら過ごし個展の日程を調整してきた。 安定期に入って、開催に辿り着けた。 今日は菜月も来て手伝ってくれており、作家仲間は開催期間の5日間手伝ってくれている。 孝一は仕事の合間にギャラリーに足を運んだ。 彼女を見つけると、頬を緩めた。 『俺の奥さんはちょっと働き過ぎじゃないかな?』 声の方へとゆっくりと向き、互いの視線が熱く絡み合う。 『お医者さんは、少しは動いた方が良いって言ってるし。孝一さんが、家事を手伝ってくれるし』 可愛い唇を尖らせて言う。 鳥海は横でにこにこしながら、「微笑ましいわぁ」と言った。 和やかな雰囲気の中、個展も無事に終わり片付けも済ませた。 作品は自宅に一旦戻す配送手続きも済ませ、打ち上げは後日改めてとなった。
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