「世界で一番悲しい音楽」ガイ・マディン

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 メイキングも二本あったので観る。  撮影はオート8(改造型?)らしく、日本の岩井・篠田組も傑作「リリィ・シュシュのすべて」で使用している。  もっとも、こちらはモノクロでサイレント(ハマー・フィルム風)を再現。  なるほど画質が荒いわけだ。  低予算なのでメイキングで見られるセットがまるで舞台の書割だが、これが粗い画面では実景に見えてしまうところが面白い。  センターにフォーカスを合わせ周りをぼかす撮影法を監督自らバラしているが、何のことはない、二種類のワックスをレンズ前レンズ(ガラス?)に塗っているだけ。  凄いわ!  映画に出演する役者がみな巧み。  その点では鑑賞して得した感じ。  監督がハマー・フィルムのファンで、出だしとラストがまるでホラー。  もっともインタビューでは監督も役者もみなコメディーと説明しているが……。  まあ、確かに、そうなのだが……。  本編は子供の頃に見ていたらトラウマになりそうな作品だ。  感性が鋭い人はご用心!  なお上記とは別にショート・フィルムが三本収録されていたので観る。 (あと予告編もいくつか)  一本は成人してから死んだ子供の幻想譚のようで面白くない。  二本目はアフリカの親父が「さあ、叩く時間だ!」と宣言するや否や、そこいらじゅうにいた若者たち(みな息子らしく周りには少数のオバサマたちもいらした)が背中といわずお腹といわず人体のありとあらゆる箇所をビンタ(?)しまくるというクラップ篇。  背景音楽が弦なので狙ったのかもしれないが、キング・クリムジンの「太陽と戦慄」のような音群を背景にピシャピシャと音が被さるのだ。  独りで観ていて大笑いする!  さて最後の一本は本編中に登場する喪主の女性が主人公。  彼女がプロレスラーで仮面(レスラー?)の父を倒し、その父が死んでデブ男に喰われ、蘇り、ウシに乗り移り、彼女がキャッキャと喜ぶという頭が痛くなるような傑作!  蘇るシーンが多重露光処理という年代モノの素晴らしさ。  監督は生まれる時代を間違えたのか。  いやこれで良かったのか。  思わず唸らされるような出来だ。
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