第5章~月山富田城合戦~

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この日の飯梨川の流れは穏やかであり、陽の光によって川面がキラキラと光輝いていた。 その川面の輝きを消し去る様に騎馬と徒武者が駆け入っていた。 尼子の先陣部隊1万7000の将兵たちが、先陣大将の前田利家の突撃の合図で、喊声を上げて、飯梨川へと御子守口と塩谷口と菅谷口から入っていき、島津軍の先陣部隊へと突撃せんと、喊声を上げていた。。 御子守口の先鋒は、もちろん伊藤善左衛門隊2000で先頭を切るのは、谷口真哉であり、その傍らには伊藤善左衛門の姿があり、伊藤隊の八極拳部隊の将兵たちが、真哉と善左衛門に続けとばかり喊声を上げて、飯梨川の浅瀬を駆け入り、島津軍の先陣へと迫った。 一方、島津軍の御子守口の先陣部隊は、岡利勝を陣大将とし、先鋒に甲斐親英隊2000、甲斐隊の後方に佐波隆秀隊1000と森脇市郎左衛門隊1000を合わせた2000、佐波・森脇両隊の後方に陣大将の岡利勝が岡隊5000という布陣で、尼子軍の御子守口の先陣部隊を、迎え撃つ態勢をとっていて、先鋒の甲斐隊に愛洲移香斎、塚原卜伝、上泉伊勢守の3人の姿があり、先頭に立つ移香斎は迫る尼子軍の先鋒の伊藤隊の先頭を行く、真哉の姿を見つけて。 「来たか…先日の雪辱をしてくれるわッ」 と、吐き捨てると、真哉以外の尼子軍の将兵たちを無視し、移香斎は真哉をめがけて駆け出していた。 御子守口から飯梨川へと入った、尼子軍先鋒部隊の伊藤善左衛門隊、その先頭を駆ける真哉、その目に前方から勢いよく駆けてくる武者を真哉は確認し、その武者が誰であるか真哉はすぐにわかった。 そう、真哉に迫る武者は、愛洲移香斎である。 (やっぱり出てきやがったか) そう思いながら、真哉は鳳凰の槍を持つ手に、自然と力が入ったが。 (いけねッ。また力が入ってしまったッ) と、真哉が思っていると、既に移香斎は真哉の目前へと迫り。 「貴様が来るのを待っていたッ!貴様には先日の雪辱をせねばならぬかなッ!覚悟いたせッ!」 そう移香斎は言い放ち、妖魔の太刀をかまえ、真哉との間合いを計り始め、そして移香斎は真哉へと斬りかかり、これを真哉は鳳凰の槍で、移香斎の振るう妖魔の太刀を受け止め、鳳凰の槍と妖魔の太刀が交差し、回りへと風圧がかかる。
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