遠きｶﾅﾀより導かれて～鳳凰編：４～

第5章～月山富田城合戦～

～剛志の新たな戦略～

月山富田城合戦から帰還した尼子剛志は、軍師の黒田官兵衛を呼び、新たな戦略を練り直していた。

「官兵衛。四国の状勢は如何か？」
そう剛志が問いかけると、これに官兵衛が即答する。
「四国には伊勢を捨てた光秀が九鬼水軍を味方につけ入り四国にて富国強兵を図っている模様ですぐに大坂城へと進軍してくる事はない模様です」
「そうか…そうなると大和や伊賀それと伊勢や近江へ軍勢を進めても問題はなさそうだな」
官兵衛の返答を聞き、そう剛志は言い、これに官兵衛は頷いた後。
「左様ですな。それと既に聞いていると思われますが逢坂関の津田信澄殿から徳川於義伊殿が尼子の人質になる申し出を於義伊殿自ら申し出て来た事ですが。如何に対処なさいまするか？」
そう官兵衛は続け、剛志に問いかけた。

この官兵衛の問いかけに剛志は。
「徳川於義伊殿が人質…？」
そう剛志は考えても見なかった事に怪訝な表情を浮かべ言ってから。
（於義伊が何故に自ら尼子の人質を申し入れて来たのか…徳川家は家康無き後…家を二分していたが…於義伊方の勝利で家は一時…1つになったが…妖魔鬼神が於義伊と竹千代を連れ出した事で妖魔勢力になった。たが…それは鳳凰神様と澄心の働きで於義伊と竹千代は救い出され…徳川は於義伊を当主として分裂して乱れた家政の復旧と安定を図ると思っていたが…）
そう剛志が考えを巡らしていると、剛志にだけ聞こえる様に鳳凰神・宇喜多直家が話しかけて来た。
『どうやら歴史の修復が歴史の神によってなされようとしているようじゃ。剛志よ。聡明なお主なら解る筈じゃ』
そう鳳凰神・宇喜多直家は剛志に伝え、これを聞き剛志が。
（歴史の神による歴史の修復…そうか俺が龍神様こと尼子経久公によってこの戦国の世に龍神の化身として降臨してより俺が知っている歴史と大分違った歴史となってしまっている。それを歴史の神が歴史の修復のために動き出したという事か。そうですな鳳凰神様）
そう言うと、これに鳳凰神・宇喜多直家が。
『そうの様じゃ。歴史の神つまり神々の頂点ともいうべき神が動き始めた様じゃ。これは儂でもどうする事も出来ぬ事よ』
そう言った。