第1章

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「店長さん、いい人でさ。俺や、他のバイトさんの話、親身にきいてくれるんだよ。」 珍しく夕食の席に一緒になった弟が、ぼそりと呟きました。 優しいのに無口で人と関わることが下手な弟は、周囲から誤解されることが多く、あまり友人と遊んでいる姿を見たことがありません。 なので、弟がそういうなら、いい店長さんなんだなあと、私たち家族は思いました。 「定年前にサラリーマン辞めて、今の店を始めたんだって。理解のない奥さんは出て行ったけど、息子さんと娘さんが時々手伝いに来てる。」 家族経営的な状態なのでしょうか。 それでも、弟のようにバイトを数人雇っているということです。 「店長さん、本当によく働く人で、過労で倒れるんじゃないかって思う。すごく痩せてきてる。」 そういう弟も、最近痩せてきたようです。 バイトの時間も増えたし、家族は心配していました。
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