第1章

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「休憩する部屋に、いつもちょっとしたお菓子と飲み物を用意してくれるんだ。」 賞味期限が近くなった商品を、店長が買い取る形で出しているようです。 飲み物も、疲れているだろうからとビタミン飲料のようなものと女の子用にダイエット効果があるというお茶の2種類を、それぞれ大きな水筒に入れて持ってきてくれるそうです。 店長も自らそれらを飲み食いしながら、バイトの子たちと話すこともあるとか。 なので、弟は、店長に懐いています。 「ごちそうさま。俺、これから最後4時間だけ入ってくれって言われているから。」 夕食を食べ終えた弟が、中古の軽自動車に乗って出かけていきました。 見送った母が、重苦しい声で言いました。 「あの子、顔色がよくないわ・・・疲れすぎているんじゃないかしら。」 父もそう思っているようでしたが、農業も手伝わずに家でだらだら過ごすよりは自力で稼いでいる今の状況は悪くないと思っているらしく、心配な気持ちを口には出しませんでした。
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